相互尊重
コミュニケーション
基礎原則
mutual respect communication
No. 3
境界線

前回のふりかえり

第1回で「聴く力」、第2回で「伝える力」を学びました。

今日は、自分と相手の間にちょうどいい距離感をつくる「境界線」を学びます。


今日のゴール

今日持ち帰るのは、たった2つだけ。

1
「NO」はIメッセージで
「私は〜」で断れば関係を壊さない
2
自分と相手を分ける
相手の機嫌≠私のせい
01

境界線(バウンダリー)ってなに?

境界線とは、「ここまでは私の領域」「ここからはあなたの領域」という心のライン。

家にたとえると、ドアと柵のようなものです。

境界線を引くことは、相手を突き放すことではありません。
お互いを一人の人間として尊重することです。

02

日本人が境界線を引きにくい理由

日本には「察する文化」があります。

でも、察し続けることは自分を犠牲にすることです。

「NO」を言えることは、わがままではない。長く良い関係を築くための、大切なスキルです。

03

2種類の境界線

種類内容
身体の境界線自分の身体・時間・持ち物を守る「今日は疲れてるから、また今度ね」
心の境界線自分の気持ちと相手の気持ちを分ける「あの人が怒っているのは、私のせいじゃないかもしれない」
04
ワーク1:境界線チェック(10分)

やり方

以下の20の質問に、自分に当てはまる度合いで点数をつけてください。

3点 = よくある  2点 = たまにある  1点 = ほとんどない

NOの困難さ

1. 頼まれると断れないことが多い
2. 「NO」を言うと罪悪感を感じる
3. 本当はイヤなのに笑顔で引き受けてしまう
4. 断った後にずっと気になってしまう
5. 「いいよ」と言った後でモヤモヤする

感情の巻き込まれ

6. 相手が不機嫌だと「自分のせいかも」と思う
7. 相手が悲しいと自分も悲しくなってしまう
8. 相手の問題を自分が何とかしようとする
9. 相手の感情に振り回されやすい
10. 相手が怒ると自分が悪いと感じる

責任の混同

11. 他人がうまくいかないと自分のせいだと感じる
12. 頼まれていないのにお世話をしてしまう
13. 「あなたのため」が口癖になっている
14. 相手の機嫌を取ろうとしてしまう
15. 自分のことより相手の気持ちを優先しがち

自己犠牲

16. 自分の時間を犠牲にしても気にならない
17. 「私がやらなきゃ」が口癖になっている
18. 休むことに罪悪感がある
19. 自分のことは後回しが当たり前になっている
20. 人に尽くしすぎて疲れることがある

合計点の目安

45〜60点境界線がかなり曖昧になっているサイン。自分を大切にする練習を始めましょう
30〜44点場面によって境界線が揺れやすい状態。意識するだけで変わり始めます
20〜29点しなやかな境界線が育ってきています。この調子で大丈夫

どの点数でも大丈夫。 気づけたこと自体が、変わり始めている証拠です。

ペアで共有(5分)

気づいたことを、隣の人と自由にシェアしてください。(パスもOK)

05
ワーク2:「NO」の練習(15分)

「NO」を伝えるのは、第2回で学んだIメッセージの応用です。

Iメッセージで伝える「NO」

ステップ
1(過去)
起きた事実・出来事
「今週末も手伝ってほしいと言われたんだけど…」
2(現在)
今の自分の気持ち
「私は、少し休みたいなと思っていて」
3(未来)
これからの希望・お願い
「今回はお休みさせてもらえると助かる」

お題(好きなものを選んでください)

Aさんが頼む側、BさんがIメッセージで断る側。交替して2回やります。

06

ワーク2 振り返り

ポイント

「NO」を言った後に罪悪感を感じるのは自然なことです。それは「今までのパターン」と違うことをしたサイン。悪いことではありません。

07

ゲシュタルトの祈り

心理学者フリッツ・パールズの言葉を紹介します。

わたしはわたしの人生を生き、
あなたはあなたの人生を生きる。
わたしはあなたの期待にこたえるために生きているのではないし、
あなたもわたしの期待にこたえるために生きているのではない。

私は私。あなたはあなた。
もし縁があって、私たちが互いに出会えるならそれは素晴らしいことだ。
しかし出会えないのであれば、
それも仕方のないことだ

-- ゲシュタルトの祈り(フリッツ・パールズ)

厳しく聞こえるかもしれません。でもこれは「冷たくなれ」という意味ではなく、お互いを一人の人間として尊重しようというメッセージです。

大切にしたい人がいるからこそ、まず自分を大切にする。
自分の境界線を守れる人が、相手のことも本当に大切にできるのです。

08

今日から使える! 2つの実践

やることポイント
「NO」はIメッセージで伝える「私は〜」で始めれば、
断っても関係を壊さない
自分の気持ちと相手の気持ちを分ける「相手が怒っている=私のせい」
とは限らない

宿題:境界線チャレンジ(3日間)

1日目
「ここは自分の
境界線だな」と思う
場面を1つ見つける
2日目
小さな「NO」を
1回言ってみる
(「今日はちょっと…」でOK)
3日目
相手の機嫌が悪い時、
「私のせいかも」と
思わずに観察してみる
09

ふりかえりメモ

日付:__月__日

どんな場面がありましたか?

その時どう感じましたか?

気づいたことは?

次回までにやってみたいことは?

10

参考文献

11

講座の全体像

第1回 傾聴と共感
第2回 自己表現
第3回 境界線 ← 今日ここ
第4回 問い
第5回 総合実践

次回予告

第4回は「問い」です。

「聴く力」「伝える力」「境界線」。3つの土台の上に、最後のピース「問いかけの力」を加えます。

今日の宿題をやりながら、「相手にこれを聞いてみたかったな」と思う瞬間があったら、覚えておいてください。

それが次回への最高の準備になります。

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